溺愛されてもわからない!
「おかーさーん」
教科書開いて
子供のように口にする。
声に出すと
余計に切なくなってきた。私のバカ。
勉強しましょう。
一生懸命勉強して……勉強して……
また寝てしまった。
もう10時じゃん。
いやどんだけ勉強が苦手だ私。
お風呂でも入ってくるか。
立ち上がって背を伸ばすと
部屋の前を通り過ぎる足音。
月夜がトイレに起きたかな。
そっと扉を開くと
一夜の背中を見つけた。
「すみれちゃん。ただいま」
「おかえりなさい」
絡まれるかなって思ったけど
そのまま自分の部屋に入ったので拍子抜け。
拍子抜けしてどーする私。
廊下で残されてぼっち君。
孤独に弱い私。
一夜の部屋をノックして「どーぞ」と言われ
「おじゃまします」と部屋にin。
エロ王子の部屋に自分から入るなんて
どーした私。
「どーしたのすみれちゃん。Hでもする気になった?」
私がいるのに堂々とシャツを脱いで着替える一夜。
やめてくれー。
ドアの前で目を伏せてると「さっき女の子と遊んで来たから、大丈夫だって襲わないよ今日は」って笑われた。
笑顔が王子様。
性格を知らなかったら
絶対だまされそうだ。