はじめの一歩。

一歩。

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「あんたはほんま親孝行娘やな!」
高校の合格発表で、母が最初に口にした言葉がそれだった。

“おめでとう”じゃなくて親孝行娘。

その理由はうちの団地から徒歩３分という距離にある公立高校だからだ。
母子家庭で裕福ではない我が家のおサイフ事情からしたら、交通費ゼロ、学費などは免除という条件が揃ってる学校に合格したのだから【親孝行娘】。

塾にも通わず、私立の滑り止めも受けず、合格。


この学校に不合格だったら、中卒確定で仕事をさせられる事が絶対に嫌だったから
必死こいて勉強したから“当たり前だろう”。



親の都合で振り回されるなんて
もう懲り懲り━━━。




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４月。
それまで通っていた中学校の向かいにある高校が、新たな学舎(まなびや)となった。

ださださ制服から、県内人気制服ランキング２位の制服に身を包み
肩掛けの大きな鞄を卒業して黒リュックを背負い。
スニーカーからローファーへと足元を変えて
私はそれなりに新たな生活を楽しんでいた。