Turquoise Blue 〜空色のベース〜


「…私…
彼の住所と…名前と…
電話番号とかしか
知らないんですね〜…

なんか、今、
あらためてわかった…」




− 繋いだユリちゃんの手が
こんなに外は暑いのに
冷たくなってく −



「…うちの奥さんもさ

俺、子供出来て
去年、結婚したんだけど
体の事

あいつ
な〜んにも言わなかったのね



俺と赤池は…
十代ん時、事務所入っててさ

今その事務所は契約切れて
抜けてるんだけど
そんな時期だったから
自分の事しか、見えなくてさぁ


しがらみもあるけどやっぱり
事務所入ってるのと
ただ自分達で、
町のスタジオ借りてやってるのとは
全然違うのね


…あの頃の自分思い出すと
ほんとに、穴掘って
入りたいくらい
プライドばっか高くて

俺は事務所入ってたんだぞ〜
おまえらとは違うんだって…


…彼女も
相当悩んだみたいで
……どうしようか、ずっと
一人で考えてたみたい


でも、もうこれ以上はって
時期になった頃に

コンビニに、買い物行った時
いきなり『子供出来た』って
言われたんだ」


「…コンビニ?」


「そ〜

アイス選びながらね
ふざけてるでしょ


…俺、頭の中真っ白よ

でも、


そんな時に

『タイムマシーン』の
オルガンの音が、流れて来てさ」








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