Turquoise Blue 〜空色のベース〜
− 大きな
アンプからの音で
周りの空間が埋まってる
Lの字になった
細い通路
壁は黒
そこに入ると
空気が一気にムッとする
スピーカーや
スポットライト
『シールド他』と書かれた
ダンボールの大きな箱とか
表に出ていない機材が
壁に沿って雑然と置かれてる
通路の幅は
やっと、人とすれ違える位
Lの字の突き当たりが
ステージの入口だ
少し手前に、暗幕が張られてて
そこに、私達は立った
朝来た時は、
周りがよく見えてなかった
…こんな場所だったんだね…
マキちゃんが何か言ったけど
聞こえない
腕を引っ張られた
私が居る横の細い階段の上から
人が降りてくる
スタッフの人
照明さんかな
− 女の人
私達を一瞥もせずに
軽く会釈
私達もお辞儀する
その人は
今まで通って来た通路を
急いで走っていった
− 長四角の小窓が上にある
あそこでモニターとか、
やってるのかな
あ、少し頭が見えた
天井には
古い銀色のたくさんのダクトが
いろんな所を走ってる
赤や黄色の光が点滅
…ステージ側の暗幕から
こっそり
中を覗き込むと
目茶苦茶
綺麗にメイクをした
蘭さんが赤いトップと
少し透けた赤いスカートで
踊ってる
最後のはオリジナルの曲みたいだ
−青い光の中
やっぱり
色っぽい歌い方で
蘭さんっぽい
ゆらゆら揺れて
尻尾の長い、赤い金魚みたいだ
…朝はなんだか
全員、
ここにいる人が、
意地悪で、冷たい、敵に見えてた…
− あの氷
気持ち良かったな
あれが無かったら
今、かなりまだへばってた
…ジュースか何か買って
蘭さんが出て来た時
渡すようにすればよかった
ホントに気が利かないよ
……私。
ユリちゃんが
袖にセットしてあったキーボードで
指を動かしてる