Turquoise Blue 〜空色のベース〜



「…な なに」


後ろでも走る音


夜の雑居ビルの谷間に
『そっちだ!!』とか
男の人の声が、いくつも反響する



『彼』が軽く走って

非常階段から、
建物を一周して
コンクリートの壁に小さくついている
鉄柵の裏口にまわった

私も慌ててその後を追う


「……!!」



開いた鉄柵を気付かずに
男の人が走って来た


ぶつかる寸前に
『彼』が急いで扉をガシャン!と閉める


構わず男の人は走って行って
その後にまた数人続いた



「…な 何
『Azurite』を見て
興奮したお客さん?!」


『も、いるみたいだけど
当日で入ってたお客が
外で話聞いて
追っ掛けてるんだろ

後は、アズライトが出るの知ってた奴か』


『彼』は柵を開いて、道の左右を見回す


そして
雑居ビルを眺めて


街灯が照らす夜の道路を

早足で、歩く







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