Turquoise Blue 〜空色のベース〜

看板の明かり


−青山さんは
ライヴハウスの前で一人
立って煙草を吸っていた




「おかえりなさい」


「た…ただいまです…」


『青山さん
あさっては夕方5時でいいの?』


「うん 吉祥寺 」

『1? 2? 』

「1の方
急に入ったライヴで申し訳ないね」



『わかった

後さ コイツ 終電ないから』



「了解してるよ
駅の駐車場まで行って
それから送るね」


「ええっ?!私千葉ですよ?!
ダメですよ!!!」


「高速乗ればすぐだよ」



『じゃあ 俺、行くから

二人共、おやすみ』


「おやすみ お疲れ 」



− あ …………




ホントに… 行っちゃうの?







ゴツゴツと
黒いブーツの音をたて

……本当に彼は
コンビニの横を通り



一度も振り返らずに
行ってしまった……。





「 見事、玉砕?」


「え!!




…は………はい……」




青山さんに

ポンポンと 肩を叩かれて


また、眼の防波堤が 決壊した







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