Turquoise Blue 〜空色のベース〜


駅に近付いて来て
人通りが増えて来た

デパートは
閉まっていて
ショーウインドーだけ明るい


横断歩道で人が増えた


仕事帰りの酔っ払ったサラリーマンが
歌をうたいながらヨロヨロしてる


この曲なんだっけ


おじさんと、ぶつかりそうになって

青山さんは、スッと私を
反対側に促した



信号を見て、あっ と気がつく

昼、明るい中で
『彼』が、渡って行った訳


「…そかぁ…」


「ん?」


「いやー… 朝、『彼』
信号
変わり切ってないのに
どんどん走って
行っちゃって」




「ああ

…でもアズはもっと危ないよ
信号が何だろうが
車が走ってようが
人の姿みつけたら、
一目散に走って来るから」


「む 無鉄砲?!」

−そういえば、逃げてた時も
そんな感じだった




駅のロータリー

その通りに
飲食店がごちゃごちゃたくさんあって
ギョウザのにおいがする
人がいっぱい居て
お酒のにおいも混ざってて
なんかちょっと不安になる


「バンドの練習の帰り
ここのラーメン屋で
よく飯、食ったよ
当時は明け方までやってたから

アズ、
『ギョウザ、肉抜きで』
とか言って
親父さんにボウズ頭、
張り倒されてた」


「ボウズ?!」


「そ、ガリガリで、ヒョロっとしてて
碧い眼だけ目立ってたな

ボウズ頭で、だから
俺達のそのバンドは
『ボウズ』
って名前だった」


−1時間百円、と
黄色い看板
あるのは三台の
小さな駐車場

黒い車の横に、青山さんが行き
ガチャと鍵が開いた音



「どうぞ」と声をかけられ

助手席に乗った





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