Turquoise Blue 〜空色のベース〜
「途中でインターあるけど
トイレ寄ろうか」
「はい」
「眠っててもいいよ」
「……優しいなあ…
『彼』だったら
絶対、俺、トイレ行く
眠い。って、自分が寝そう」
青山さんは大声で笑った
「…確かに
そういう所はあるなあ
あんまり気にした事無かったけど」
「…『Azurite』も今頃、
あの人と帰る途中なのかな…」
「…あの人?」
今まで笑ってたのに
−青山さんの声が
ちょっと怖くなった
「…あの…
『彼女』の演奏終わって…
私、『彼』を『彼女』に
逢わせようと思って…」
「だから手引っ張って
走って行ったのか」
「…はい
それで、
…ちょっと色々あって
そんな時に、
周りでバタバタ凄い音がして
『Azurite』を
追い掛けてる音がして」
「…ライヴハウスの中からも
かなりの人間、
追い掛けて行ったよ」
「……それで
見付けたんですけど
『彼女』追い込まれてて
捕まる!って時に
男の人が出て来たんですよ
その人に
匿われるみたいにして
姿消しました
なんか…ガードマンとって感じには
全然見えなかったから…」
「…どんな奴?」
「うんと…黒い帽子と服で…
顔はわかんなかったですけど
背は『彼女』より
少し高い位
多分、青山さんより低いです」
「……ミュージシャンぽくて
ちょっと『彼』に感じ似てたりした?」
「え、いえ
全然違うタイプでしたよ?
腕とか、マッチョじゃないけど
筋肉ついてて…
ストリート系と言うか
B系と言うか…」
「…じゃあ多分、違うな」
青山さんは、
見るからに
ホッとした表情をする
空気が緩んだ
「……青山さん
本当は、すごく
『Azurite』の事、知ってるんじゃ……」
「……」
「…教えてくれないと
さらわれるーー!!って
叫びますよ…?」
「その前に降ろすよ」
「!!」
「俺、普通に降ろすから。
次のインターで放置しようか」