Turquoise Blue 〜空色のベース〜
− あれから十日位
シノの家の用事もあって
練習しなかった
マキちゃんも連絡がつかない
− 31日
『Azurite』の
スコアが出るなと思って
本を買いに行ったついでに
楽器屋さんに来たら
ユリちゃんとシノがいて
大爆笑した
ちょっとお茶してから
海に行こうという話になった
コンビニで
アイスを買った
私はガリゴリ君ソーダ味
シノはパヒコのヨーグルト
ユリちゃんは
ハーゲンダッシの
ミルクストロベリー
商店街をしばらく歩くと
【←こちら海岸】の立て看板
普通の民家の横
細い坂道の階段を下る
「蝉の声がすごいねー」
「うん〜」
「潮のにおいもすごくなって来た」
海が見えると
皆小走りになった
薄暗くなった海には
結構、人がいて
私達三人が座ってアイスを食べてても
全然おかしくない感じ
どこかのお父さんが
小さい子二人連れて
花火パックとバケツを下げて歩いて来た
子供がアイスを
見つめて来る…
ユリちゃんが手を振ったら
小さい子の方が
振り返りながら
まだアイスを見つめながら
手を振り返してくれた
「あははは
かわい〜ね〜!」
ユリちゃんが笑う
「うちの弟の小さい時なら
ゼーッタイ!アイス買ってー!って
泣き叫んでるね」
「あはははは
ユカんちの弟君、暴れん坊だもんね〜」
シノは、弟に一度
去年の文化祭で会ってる
ずっと手を引いて、
出店とかお化け屋敷とか回ってくれた
波の音に混ざって
ユリちゃんが呟く
「……なんかさあ
バンド解散しちゃうのかなあ」
「う〜ん…
確かに、
マキちゃんで持ってた部分
あるからねえ…
− あ、ごめん、電話」
シノが携帯を受けた
「お母さん? うん
え ホントに?!解りました!
ありがとう!!!」
「どしたの? シノ」
「シノちゃん お母さんどうしたの?」