Turquoise Blue 〜空色のベース〜
−今までで1番大きな
ゴツ と
ブーツの音
− ベースを担いだ『彼』は
ホームの端に飛び降りた
一旦 膝をついたけど
人ゴミを掻き分けて
走って来た
横に立った
− 息が粗い
そして
汗の におい
『 …走れ 』
「う……うん!!!」
私は
階段の手摺りを必死に握りながら走った
『彼』は やっぱり
私の手を握って走るとか
そういう事は
全然 しなくて
入場券を 一番端の改札に入れて
サクを飛び越えるみたいに走った
その度に ゴツっと
黒いブーツの音がして
私はその音を追い掛ける様に
泥水を被った犬じゃないかってくらい
周りも見ずに
ただ 夕焼けの街を駆け抜けた