Turquoise Blue 〜空色のベース〜
振り返ると
『彼』が居て
洗って濡れた髪から
いつもよりはっきり眼が見えた
上は
蘭さんが言ったみたいに
− …着て、無くて
銀の髑髏っぽいバックルのベルト
黒いスリムの
汚れたジーンズ
紐がちゃんと結ばれた
黒いブーツ
『……何 』
− そう聞き返されて
うっ となる
明確な用事があって
声、かけたわけじゃないから
目のやり場にも困って
ブーツを凝視した
「…べっ!!
………ベース、
なんとも無かった
傷とか、無かった よ 」
…なんにも言わない
ベースは私が、しっかり抱えて
膝の上にある
……見れば解るか……
『…チューニングしてたの?』
「…え あっ
チューニングは
もう少ししたら
やる から 」
『なら、ドライヤー使う』
『彼』はガツガツと歩いて
鏡の前の パイプ椅子に座った
「う… うん ゴメン 」
ベースを持ったまま
横へ いざる
『彼』の顔が
いきなり目の前にあった
片手が私の後ろに延びて
息が 触れる
「えっ?!?!」
『……コンセント』
「………」
私の真後ろに
電源が、あった………