Turquoise Blue 〜空色のベース〜
「ねえユカ…
なんかさ…」
シノが耳に顔を寄せる
「うん」
「…やっぱ
音楽やってる男の人って
カッコイイね…」
「聞こえてるよ」
少し笑いを含んだ
青山さんの声
「え え
わーーー!!!恥ずかし…!」
シノは顔が真っ赤だ
マキちゃんが爆笑した
Cheaの人達は皆 大爆笑
…『彼』も
後ろを向いたまま笑ってる
肩が揺れてるもん
− 胸が泡立つみたいな
不思議な空気
学校では味わった事のない
少し怖い時間
「お。賑やかでいいね」
緑川さんが肩を叩かれた
「松田さん」
赤いポロシャツが
首下げパスと一緒に
廊下を通り過ぎる
慌てて追い掛けた
「 松田さん!!」
「…ん? ああ 葉山さん」
「聞きました!
ありがとうございました!!」
「シッ…内緒ね
あんまり広まると
特別扱いした
とか言われるから」
「…あ! ……はい
すみません……」
そ…そうか…
「まあ それは嘘だけど
審査は厳正にしますよ
ルックス、音楽性、カリスマ性
全て含めてね」
「Chea-Ruu……」
「…ああ あそこは強いね
全員 プロ級に上手い
そして、ヴォーカリストが
秀逸だ 」
「ま…松田さんも
『彼』を見ると
ドキドキするんですか?!
思わず
シャツに掴みかかってしまった
慌てて離す
そんな私を
松田さんは笑うでもなく
言葉を続けた