クールな総支配人の迷子注意報?
叱られたことで頭に来たのか
「もういいわ。この話は、白紙よ!!
後で後悔して謝って来ても知らないんだから」
怒って行ってしまった。
行っちゃった……。
何とも凄い人だった。
いや、それよりも総支配人の言葉が……。
まだドキドキと高鳴っている。
気まずい雰囲気になっていると
総支配人が
「若葉。お前も悪かったな。
変な事に巻き込んで。通常の仕事に戻ってくれ」
そう言い部屋に出ようとする。
「あ、あの……」
私は、思わず呼び止める。
しかし総支配人は、振り返らずに
そのまま行ってしまった。
総支配人……?
しかしその後。
1ヵ月後が経っても総支配人が迷子になったと
呼び出されることはなくなった。
いつもなら藤本さんが捜しに、こちらに来るのに。
どうしてしまったのかしら?
本来のコンシェルジュとして仕事が
出来るからいいことなんだけど…何だかもの足らない。
心に穴が空いた気分だった。
「最近、総支配人。大人しいね?
いつもなら、迷子になっている時間帯なのに……」
小山さんが気にかけて言ってきた。
「小山さん!?」
ドキッと心臓が高鳴る。
でも、前よりドキドキが無くなってきている。
それに失恋した悲しみも……。