クールな総支配人の迷子注意報?

そうしたら小山さんが言ってくる。
「そう言えば、知っているかい?総支配人が
迷子になる時間帯って昼頃か私らが
忙しさのピークが過ぎた頃に発生することが多いって」

えっ……?

驚いたが確かに考えてみたら
藤本さんが捜しに来る時間帯は、大体
私達が接客でピークが過ぎた頃だった。

まぁ……だから捜しに行けるのだけど
ピークの時に言われても無理だし……あれ?
もしかして総支配人は、それを狙っていた?
 
今まで気づかなかった。
そう言えば、この前
私に捜してほしかったと言っていた。
何で……わざわざそんなことを?

ううん。理由は、分かっている。
ただ私が信じられなくて……否定しているだけ。
総支配人の不器用ながらも真っ直ぐな気持ちを
信じられなくて……。

私は……
胸が締め付けられそうになる。

「どうしたんだ?高城さん」

「あの……小山さん。
仕事が終わってからあるんですが……よろしいでしょうか?」

「えっ?……それは別にいいですが……」

私は、けじめを決めないといけない。
いつまでも、こんな中途半端のままじゃダメなんだ。
総支配人のことが頭の中から離れなかった。

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