僕らの初恋青春譜





やばい。急に意識しだしちゃうとずっと黒澤君の顔を見ていられる気がする。










でも、私の視線に気づくと黒澤君は「何だよ。人の顔じぃーっと見てさ。何か付いてる?」と言って顔を私の方へ近づけてきた。










「そそそそそんな見てない!あと、何も付いてないからね?!ちょっと離れて」











私が慌てていると黒澤君は「悪ぃ、悪ぃ。暗い顔してたからちょっと意地悪しただけだ」と言って笑顔になったもんだからいつの間にか涙なんか吹っ飛んでいた。









黒澤君、この好きって思いは記憶をいつか思い出した時の私に伝えておくね。だって、黒澤君が好きになった和恋は今の私じゃないでしょ?
きっと3年前まで黒澤君のことを海斗と呼び、遥の記憶もあった私だよね?











3年前に何かあったから今の私が黒澤君に「好き」って伝える権利も何も無い。











だから、今は私にとってこの好きと言う気持ちを隠すことが苦しいんだって分かった。











今日、帰ってから書くつもりの日記の欄にこのことを書くために私は携帯のメモに下書きとして文字を打ち込んだ。





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