化け狐の夜
次の日。

「ねぇ、花梨〜」
「なーに。美桜?」
「『化け狐』の噂って知ってる?」
「…」
「花梨?」
「ま、まさか…まさかだよ?狐のお面を被った人から聞いた…?」
「え?そうだけど…」
「…聞くならその人から聞いて」
「えっ…なんで」
「かりん、のろわれたくない!」
「呪い?」
「そう。呪い。化け狐の話をしたら…」
「したら?」
「化け狐に連れていかれる」
「薊…冗談よしてよ。ていうか、薊も知ってるの?」
「ああ。母親から聞いた。私が小学生になる前にな。花梨は?親か?」
「ううん。狐のお面を被った人から…」
「そうか…」
「なら…さ、その女の人は何故連れていかれないんだ?」
「実際聞いたが、あいつは守る術を持っているから。だそうだ」
「守る術って言うのはこれだよ」
花梨が見せてきたのは、赤い色の勾玉だった。
「このクラスの人を見て、かりん見たいに色は違うけど勾玉持っている人ばっかりだよ?」
「そうだね…」
「話を聞くんなら、覚悟をしてからだ。私は何の事か分からず聞いたが、今になってみると理解したからな」
「その噂は怖いのか?」
「人によるかな。私はその後恐怖したが」
「かりんは、勾玉貰うまでガクガクしてたよ」
「まあ、聞くなら聞きな。皆知ってる事だしさ」
「そうだね…。うん。花梨、薊…ありがとうね」
と、私が言うと薊は直ぐに自分の席に座った。丁度チャイムがなる時間だった。

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