月華の銀色の乙女。
「 別にそんな石ころ、お前には必要ねぇだろぉ?」


「 俺達はそれが必要なんだよ、だからよこしなぼうず 」


少女が寝ていた廃城のふもとに、二人の男が一人の少年相手に何やら交渉しているところだった。


しかし、



「 嫌だ!これは兄さん達が使うものなんだ!お前達なんかに譲らない!」



と、必死に手にある灰色の包みをギュッと抱え、ニヤニヤしている男達を睨んだ。



するとその態度が癇に障ったのか、ニヤニヤしていた顔がすぐに怒り顔に変化した。



「 ……っこのガキ、言わせておけば……!」



その内の一人の男がそう言うや否や、太くて大きい棍棒を取り出した。



「 大人しく渡せば言いものの…… 」



そしてもう一人の男も武器を取り出し、殺気立った目で少年を見る。




しかし少年は怯えずにまたこう言った。




「 そんな武器出したってお前らになんかやらないからな!」



と、更にキッと睨みつける。




「 こんのっ……!!」




それを見てか二人の男は、一斉に血走った目で少年に襲いかかった。




少年は壁際に追いやられていて逃げ場がなかった。



少年は思った、ここで終わったら元も子もない。




せめて誰か気づいてくれればその人物にこの包みを預けられるが、生憎ここは森の中の廃城。



助けを求めても誰もいない。



もうダメか、と目を瞑った時。




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