月華の銀色の乙女。
物凄い速さで男達の武器がとてつもない威力で遥か遠くに吹き飛ばされた。
「 っ?!なっ……?!」
手首にもダメージが与えられたのか、二人の男は手首を抑えながら、座り込む。
「 !? 」
少年も驚いて辺りを見渡した。
今のは何だったのか。
「 ……っ誰だ!」
男達が声を上げると。
『 ……子供相手に、大人げない。失せろ 』
────頭上から、凛としたよく通る声がふってきた。
そして素早くその男達の前に飛び、着地した。
黒い革のコートがその拍子にバサリ、と音を立てる。
「 な……こ、こいつどっから……!!」
「 何者だ貴様っ……!」
なおも立ち上がり少女に襲いかかろうとした男達に少女は静かに口を開く。
『 ……聞こえなかったのか?もう一度だけ言う……失せろ。────二度と卑怯な真似はするな 』
「 っ……!?」
ゾクリ……とその冷たい声音に恐れ慄いた男達は、顔を真っ青にしながら走って逃げていった。
『 …… 』
それをまた冷たく一瞥した後、壁際にいる少年の方へ体を向ける。
『 ……大丈夫?怪我は……ない?』
「 !」
聞こえてきたのは、男達に向けた冷たく恐ろしい声ではなく、凛とした、優しく綺麗な声だった。
「 あ…うん、大丈夫!助けてくれて、ありがとう!」
茶色いふわふわの癖毛をした少年がニカッとお礼を言う。
『 ……いいえ、大したことない。良かった…… 』
黒いフードを被っていたので、表情は分からないが、少年はこの少女に少し惹かれていた。
( この人、どんな人なんだろう……?素顔、見たいなぁ…… )
少年がじーっとこちらを見ていたのに対して、少女は考え事をしていたせいか視線には気づかなかった。
その考え事の中心は、少年の抱えている灰色の包み。
( ……何か、特別なものなのかな……?)
『 ……ねぇ、君 』
少女が少年に声をかける。
「 あ、僕はウィルシスっていうんだ。ウィルでいいよ!」
と、少年───もといウィルは、その後どうしたの?と少女に声をかける。
『 ……ウィル、でいいんだね?その灰色の包みって…… 』
「 あぁ、これはね、鉱山から採ってきた鉱石だよ!僕の家、鍛冶屋だから必要なんだ!」
ウィルは特に迷いもせずに教えてくれた。
確かにすぐ向こう側に行けば鉱山があるので、ウィルはここまで来れてもおかしくはなかった。
しかし、何故鉱山にいけば採れるものを男達はあんな必死になって奪おうとしたのか。
( ……何か特別なものだったのかな。……いや、私が首を突っ込むことじゃないな…… )
と、思ったので、
『 ……そうなんだ、ありがとう 』
とだけ少女は返した。
と、その時。
ビュウウウ。
急に強めの風が吹き、森の木々や植物たちがサワサワと揺れる。
『 ……あっ… 』
「 っ?!なっ……?!」
手首にもダメージが与えられたのか、二人の男は手首を抑えながら、座り込む。
「 !? 」
少年も驚いて辺りを見渡した。
今のは何だったのか。
「 ……っ誰だ!」
男達が声を上げると。
『 ……子供相手に、大人げない。失せろ 』
────頭上から、凛としたよく通る声がふってきた。
そして素早くその男達の前に飛び、着地した。
黒い革のコートがその拍子にバサリ、と音を立てる。
「 な……こ、こいつどっから……!!」
「 何者だ貴様っ……!」
なおも立ち上がり少女に襲いかかろうとした男達に少女は静かに口を開く。
『 ……聞こえなかったのか?もう一度だけ言う……失せろ。────二度と卑怯な真似はするな 』
「 っ……!?」
ゾクリ……とその冷たい声音に恐れ慄いた男達は、顔を真っ青にしながら走って逃げていった。
『 …… 』
それをまた冷たく一瞥した後、壁際にいる少年の方へ体を向ける。
『 ……大丈夫?怪我は……ない?』
「 !」
聞こえてきたのは、男達に向けた冷たく恐ろしい声ではなく、凛とした、優しく綺麗な声だった。
「 あ…うん、大丈夫!助けてくれて、ありがとう!」
茶色いふわふわの癖毛をした少年がニカッとお礼を言う。
『 ……いいえ、大したことない。良かった…… 』
黒いフードを被っていたので、表情は分からないが、少年はこの少女に少し惹かれていた。
( この人、どんな人なんだろう……?素顔、見たいなぁ…… )
少年がじーっとこちらを見ていたのに対して、少女は考え事をしていたせいか視線には気づかなかった。
その考え事の中心は、少年の抱えている灰色の包み。
( ……何か、特別なものなのかな……?)
『 ……ねぇ、君 』
少女が少年に声をかける。
「 あ、僕はウィルシスっていうんだ。ウィルでいいよ!」
と、少年───もといウィルは、その後どうしたの?と少女に声をかける。
『 ……ウィル、でいいんだね?その灰色の包みって…… 』
「 あぁ、これはね、鉱山から採ってきた鉱石だよ!僕の家、鍛冶屋だから必要なんだ!」
ウィルは特に迷いもせずに教えてくれた。
確かにすぐ向こう側に行けば鉱山があるので、ウィルはここまで来れてもおかしくはなかった。
しかし、何故鉱山にいけば採れるものを男達はあんな必死になって奪おうとしたのか。
( ……何か特別なものだったのかな。……いや、私が首を突っ込むことじゃないな…… )
と、思ったので、
『 ……そうなんだ、ありがとう 』
とだけ少女は返した。
と、その時。
ビュウウウ。
急に強めの風が吹き、森の木々や植物たちがサワサワと揺れる。
『 ……あっ… 』