愛しているのは・・貴方だけ
有森 麻美・・side
大学の法学部に入ると
そこには、誰もが目をとめる男がいた。
彼は、遠山 直綺。
だが、彼に表情はなく
教授や男性から
話しかけられると
答えるが
女性に対しては
話すことは殆どなかった。
それでも、彼に言い寄る
女の子たち
大学のスタッフの人達
若い女性の先生方まで
いつも彼は、嫌そうに
していた。
だから、
私は、私をそばに置くように彼に言った。
他の女もちか寄らないし
捌けぐちにもなる。
と。
最初、彼は、胡散臭げにして
相手にされなかった。
毎日そんな感じだった彼を
傍で助けていたら
いつのまにか、私は彼の彼女と
なっていた。
体の関係は何度かあったが
常に一緒にいるようになったのは、
大学を出る前からで
偶然、彼の叔母さんの
弁護士事務所で
一緒に仕事をするようになってから
彼女となった。
だが、彼氏になっても
彼は、口数も少なく
表情もない。
微妙に動く
彼の顔や口調で
判断する日々だが
私は、それでも
直綺が居てくれれば
良かった。
そんな
彼は、父親と二人暮らしだったから
会うのは、いつも私のマンションだった。
私の両親は、郊外で小さな病院を
経営していたため
私は、大学の近くにマンションを
借りていた。
父は、内科医で
母は、薬剤師だ。
二人は一人娘の私をとても可愛がって
くれていた。