パーフェクト彼女の恋煩い
私が片思い?!
私という女の子
私が産声を上げた瞬間、そのあまりの愛らしさに世界が祝福したという…
私が道を歩けば枯れた花は再び咲き乱れ、小鳥が歌い、空は虹色に輝く。
誰もが振り返り、私の美貌に驚き、魅了される。
保育園では私の取り合いでけんかが絶えず、小学校からは芸能スカウトの嵐、中学ではファンクラブが結成され、高校では他校からの見物人で外は溢れかえった…。
そんな神レベルで可愛い私の名前は森林巴。今年で花も恥らう高校二年生になります。
「お母さん!私のアイロンどこにしまっちゃったの!」
「なーにぃ?棚の中にしまったわよ。」
「どうして毎日使うものを奥の方にしまうわけ!?遅れちゃうわ!」
「そのままでも十分可愛いわよ〜〜」
「だめよ!私たるものいつだってツヤツヤサラサラヘアじゃないと100パーセントの可愛さが発揮できないでしょ!」
「早くしないと遅刻よ〜〜」
いつもの会話におっとりした母は全く動じずに洗濯物を抱えて二階にあがっていった。
私の両親は私に似て整った顔をしている。私ほどではないけどね。
「とも、洗面所開けて、顔洗う。」
そう言って寝ぼけた顔でだるそうにドアにもたれるのは私の兄の隆。
「だめよ!まだアイロン使ってるの」
「女ってのはなんで髪の毛を鉄板でやく拷問を毎朝繰り返すんだかな」
「なによその言い方、これでサラサラになるの!ああもう遅れちゃうじゃない向こう行ってて!」
「早く終わらせろよ〜〜」
妹の私が言うのもなんだが、兄も結構整った顔をしている。いわゆるイケメンの部類に入ると思う。大学でもモテるらしく、女の影が絶えない。しかもいつ見ても違う女だ。節操なしめ…。