パーフェクト彼女の恋煩い
なんっっっの進展もなぁああああい!!!
あれから私は頑張って自分なりに調べてみた、背が高いから水名はすぐに見つかった、
なんと同じ一年生だったのには驚いた。名前は水名武。情報はさっき言った通りだ…。
一番肝心な彼女の有無については、前に男子たちとの会話を聞き耳を立てて確認しておいたので、おそらくいないと思う。
しかしこれといったアプローチなんてできるわけもなく、ただただじっと見つめる日々…。
その間に私の思いはどんどん膨れ上がり、ますます気になってしまう。
2年生になり、同じクラスになった時はどんなに嬉しかったか、亜美にも嬉しくてすぐに報告した。
さすがにクラスメイトになれば話ができるだろうと思っていたのに、私の予想は覆されることとなる。
水名は基本無口だ、たまに男子とはぽつぽつと話しているのを見かけるが、女子ともなると全く話しているところを見たことがない。
部活はやっていないのでマネージャーになろうと思ってもダメだった。勉強は結構できるみたいで、教師の覚えもいいみたい、顔が平凡なこと以外はなんでもできるみたいだ。
なぜか、朝とても早く教室にきて、ぼーっとしている。そのことを発見してからは、私も電車の時間を早めて、かなり早めに登校している。
はじめは挨拶をした時に無視されて、びっくりした。無視されるなんて、妬まれた女子意外、異性からは一度もないのだ。
何日か繰り返し挨拶をすると、今のようにぺこりと会釈を返してくれるようになった。
それだけのことが、すごく嬉しくて亜美に言うと、恋愛初心者が恋する相手としては難易度が高すぎる…とよくわからないことを言っていた。
今は、また別の作戦にでている。
「あ、あの…水名くん…勉強…数学のわからないところ、教えてもらえない?」
最近は何かしら理由をつけて話せるようにしている。これも高確率で断られたりプイっとされることがあるので私はドキドキものだ。
水名は、スッとこちらに視線を向けてから、頬杖をついて私の方を向いた。
よ、よかった、今日は無視されないぞ…。
「こ、ここに座ってもいい?」
隣の席の椅子を引っ張り、尋ねる。
水名はじっとそれを見て、こくんとうなづいた。
きゃーーっこれって初めての展開じゃない?!隣に座るなんて…っ
内心かなりどきまぎしながら、椅子に座る。自然に見えるように平静を装いながら、座ると、顔の近さにもうドキドキが抑えられなくなる。
ああ〜〜なんでこんななんの変哲もない顔が好きなのかしら…私って変わった趣味を持っていたのね…。
そう思いながらも、その平凡な顔立ちや、たくましい肩などが目に入り、ますますドキドキする。
やだよー絶対私今顔赤いよ…ばれちゃうよ…。
「どこ」
私が1人百面相をしているあいだに、水名は短くそう聞いてきた。
「あ、数学なんだけどね、今日の小テストの範囲なの…この問題なんだけど」
これは本当にわからなかった、勉強は苦手というほどではないけれど、良くもない。
水名は、問題を見ると、私の手からシャーペンをとり、プリントに直接サラサラと記入していく。
一瞬手がふれあいそうになってめちゃめちゃドキドキしたー!
それにしても指が綺麗だな…骨ばってて、男の人って感じする…。
私が変態くさく見てる間に水名は問題を解き終えてしまった。
「ん」
プリントを突き返され、見てみると、かなりわかりやすく丁寧に解かれていて、公式も隣に書いてあった。
「あ、ありがとう、すっごくわかりやすいね」
正直に伝える。
「」
水名はもうこちらを見ずに顔をペコッとさせて目を閉じてしまった。
うう…もう終わっててしまった…私の朝のお楽しみが…。
すごすごと立ち上がり、椅子を隣の机に戻す。こんなことなら嘘でももう1問くらい質問すればよかった…と思いながらも、水名が反応してくれたことが嬉しくて、もらったプリントを眺めて自分の席に戻った。