君に初恋………ー母の遺した宝物ー
ぢゃあ行こうと、私が立ち上がるのと柊 廉が立ち上がるのが、同時だった。


「「……………」」

一瞬視線が交わる。


「帰るの?」


先に口を開いたのは、”彼“だった。


「帰るよ、柊くんも?」


「ああ。…廉でいい。あのさ…えっと」


何…??


なんだか、胸騒ぎがする。


もやもやする。


「結希子さんの娘………?」



えっ………………ー



結希子ってお母さんの名前。


「なんで知ってるの…?


あなた、誰…?」


私今………笑えない。


「覚えてない?俺のこと。」


柊…廉。


ヒイラギ レン。


ひいらぎ れん。



私の知らない名前。


首を横に振る。


「ぢゃあ、思い出さないで…」

彼はそう言った。


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