君に初恋………ー母の遺した宝物ー
アルバムを、捲ってく。


生後6ヶ月ぐらいの私達。

3人手を繋いで昼寝してる。


私の手を、掴む廉くん。


小さな小さな手の廉くん。

本当に居たんだね。

私の知らない貴方。


「まだ、見ても廉くんのこと思い出せない。


けど、懐かしい気持ちになる。廉くんは悪くない。


誰も悪くなかった。

私…ー 言えなかった。」


「大丈夫よ、伝わるから。


これから、伝えて行けばいいんだよ」

うん、と笑いあった。


コンコン。


ノックされ、開けるとゆゆママがいた。


青い顔をして立つ姿にビックリする。


「どうしたの…?」


ゆゆが驚いた顔をする。


お茶とお菓子を持つ手が震えてる。


「廉くんって、柊 廉くん?」

そうだけど、とゆゆ。



同じクラスなの、と付け足す。


「帰って来てたのね。ずっと探してたから。見つからなくて、伝えたかったのに………


廉くんは、悪くなかったって。


誰も、悪くなかったって。言わないまま、いなくなったから………」



おばさん…………


泣きそうな顔をしているよ。


おばさんの横顔が、切なそうだった。




< 26 / 131 >

この作品をシェア

pagetop