クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~
派遣期間は、今日を入れてあと二日。
来週の月曜日が最後の予定だ。
一日の流れのなかで使う操作は全部覚えているようだったけれど、最初から心配していた精査作業は、まだ不安が残る。
広田さんにしても、北岡さんにしても。
進捗具合は悪くないけれど、残り二日を惰性だけで過ごすわけにはいかない。
まして、休むなんてわけにはいかなかった。
この支店では、お昼休みは早番と遅番にわけてとるのがルールだ。
早番が十一時半から十二時半。
遅番が十二時半から十三時半。
もちろん、来客数にもよるけれど、大体がそんな感じだ。
私もそこに混ぜてもらっていて、広田さんと分かれてとることになっている。
出納機が扱える、広田さんか私が必ずフロアに残るようにしているから。
今週は、広田さんが早番、私が遅番だ。
早番の広田さんがお昼休みに入ると同時に、八坂さんが営業から戻ってきた。
午前中、営業先から預かってきたお金の入ったカルトンを片手に持ち、出納機に近づいてくる。
「めぐ、これ入れといて」
当たり前のように言われ、眉を寄せた。
「私はここの職員ではないので、私だけでのお金の取り扱いはちょっと」
「あー……そういう決まりだっけ。面倒くせー」
「自分でやってください。わからない場所は教えますから。営業だって、入出金くらいできないとマズイですし」
八坂さんは「んー……」と、嫌そうな声で言いながら、出納作業を行う際、必要となるオペレーションカードを取り出す。
そして出納機に自分のカードを読み込ませてから、入金の操作を始めた。