クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~
「私は、仕事さえきちんとやってくれれば、性格はどうでもいいですね。だって職場でしか付き合わないですし。
職場離れてまでキャッキャつるむとかは、どうも性に合わなくて」
「なるほど……。わかります」
「だから、どちらかと言えば、広田さん側ですね。ただ、うまく合わせてるからそこまで目の敵にされないだけで。そのへん、上手いんですよ、私」
にっと自信満々に口の端を上げる北岡さんを、たしかにうまそうだなと眺めていると「瀬名さんはどんなタイプですか?」と聞かれる。
「私ですか……。私は職業柄、出納機を新しく搬入した場所に短気で出向いてコーチするのが日常なので、仲良くなったりはしないですね」
「へぇ……。関東圏内だったら出張するんでしょう? 私だったらその土地土地に友達作っておいて、あとから都合よく利用しちゃいますけど。人脈は広く浅く広げておくと便利ですし」
今までの会話で、なんとなく、北岡さんがどういう人かがわかった気がした。
なんていうか、自分に素直な人なんだろう。
ズバズバとモノを言うけれど、嫌な気はしない。
「そうできたらいいんですけどね。仕事以外の場で出納機の使い方なんかを聞かれて間違ったことを教えてしまったら問題になりますし、そういうことを考えると親密になるのはよくないかなって」
個人的な電話番号やアドレスを教えたとして。万が一、そこ宛に出納機の質問をされても困る。
会社を通してもらわないとまずい。