クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~


「そう言えば、瀬名さんって今、付き合ってる人とかいるんですか? この間、そういう話題になったとき、聞こうと思ったのに聞きそびれちゃって」

北岡さんに聞かれ、「え」と戸惑っていると、逆サイドから倉沢さんも「俺も気になるー」と声を上げる。

倉沢さんは、私が八坂さんを好きだって知ってての犯行だ。
どういうつもりだとキツく睨みつけると、へらっとした笑みを返された。

腹立たしい。

「で、どうなんです?」と聞いてくる北岡さんに、どう答えようか悩む。

チラッと、八坂さんが、他のグループで盛り上がっているのを確認してから口を開いた。
八坂さんには、そういう人がいるって話しちゃったから、辻褄を考えると聞かれるとマズイ。

「いません」
「へー。なんかやたら長く付き合ってる人とかいそうなのに。それこそ、高校時代からずっと~とか。
だから、この間、恋愛経験三人って言われたときも、思ったより多くて意外だったんですよね」

ギクリとするようなことを言ってくる北岡さんに愛想笑いを浮かべていると、倉沢さんが言う。

「高校時代に付き合ってた人はいるんだよね? その人とはなんで別れたの?」
「へー。高校時代付き合ってた人ってなると初彼ですか? 私も気になります」

北岡さんは仕方ない。
どんな話題でも、悪乗りする人っぽいから仕方ないと許せる。

でも倉沢さんは……私が高校時代付き合っていたのは八坂さんだって知ってるのに。

一体、どういうつもりだろう。
誕生日の夜にお説教した仕返しだろうか。



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