クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~
***
「八坂さんとくっつけば、俺とも繋がりが保てると思ったんですよね。今日みたいに」
ニカッと勝ち誇ったような笑顔を浮かべるのは、倉沢さんだ。
私が八坂さんや倉沢さんのいる支店をあとにして、四日。
八坂さんに誘われて向かった居酒屋さんには、八坂さんだけじゃなく、倉沢さんと北岡さんの姿もあった。
八坂さんの怪訝そうな表情を見ると、どうやら勝手についてきたらしい。
倉沢さんもだけど、北岡さんも案外、浮ついた話題が好きだから。
個室の座敷席。テーブルの上には、お刺身の盛り合わせや、からあげ、ポテトと飲み会定番の料理が並んでいた。
「復縁なんて一時的に燃え上ってるだけで、すぐダメになるでしょ。だって一回終わってるんだし。どうせ二回目だってすぐですよ。
俺は、八坂さんと付き合ってたからって気にしないし。だから、ひと盛り上がりして冷めたら俺のとこきなよ。瀬名ちゃん」
テーブルに両肘をつき、その上に乗せた顔をニコニコとさせている倉沢さんに、八坂さんが眉を潜める。
「ふざけんな。復縁すんのにどんだけかかったと思ってんだよ。空気読め」
「まぁ、せっかく八坂さんにも春がきたんだし、そうしたいのは山々なんですけど、俺だって幸せになりたいし」
「他をあたれ。あのコンビニ店員にしろ。顔はタイプじゃなくもないって言ってたろ。あと、巨乳だしって」
「……棒から巨乳までって、倉沢さんストライクゾーン広いんですね」
私のこともいけるだとかなんとか言っていたし……と思い、呆れて言うと、倉沢さんは慌てたみたいに弁解する。