クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~


玄関が閉まり、八坂さんがサムターンを回したのを眺めていたはずだったのに、気付けばベッドに押し倒されていて、私の上にはツラそうに顔を歪める八坂さんがいた。

はぁ……と色っぽい吐息が落ち、たったそれだけのことでゾクリとした感覚が背中を走り抜ける。

私を望んでやまない瞳が、色濃く光る。

電気もつけていない暗闇のなか、八坂さんの瞳はまるで獰猛な動物のようだったけれど、怖いなんて微塵も感じなかった。

ただ、嬉しくて……それだけで胸が膨れ上がり涙が込み上げてくる。
それでもじっと見上げていると、八坂さんは困ったように微笑む。

「なんだよ、その顔……これ以上、煽るなって。カッコわりーことになったらどうしてくれんだよ」
「大丈夫です。それでも好きですから」

もう、隠す必要なんてないんだと、言葉にすると、八坂さんは驚いた顔をしたあと「だから、そういうのやめろ……」と低くうなるように言い、咬みつくようなキスをする。

入り込んできた舌に咥内をかきまぜられ、聞こえてくる水音に恥ずかしくなるのに、その羞恥さえも興奮に変わってしまう。

そんな浅ましい自分に、こんなにも八坂さんを望んでいたんだと改めて気づき……涙が溢れた。

「ん……っ、八坂さ、ん……っ」
「めぐ……もっと口開けろ」
「ん、ぅ……っ」

なにも気にせず、ただお互いを求めて手を伸ばす。触れられることが嬉しくて、もっともっとと込み上げる衝動は止められなかった。



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