クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~
アイドルみたいに可愛い顔立ちに、緩いパーマのかけられている茶色い長い髪。
身体は華奢だ。体格的には私と似ている。
違う部分と言えば、井村さんには豊満な胸がきちんとある……というところだろうか。
コンビニでにこにこしてレジなんてしていたら、ナンパが耐えないんじゃないかなとさえ思ってしまう。
「こんなに可愛い私が告白したっていうのに、セフレなら、なんて返事するなんて……っ」
〝こんなに可愛い井村さん〟が、これでもかってほどに顔を歪めて「倉沢さんの面食い具合は、どう考えてもおかしいです!」と言ってくるから、「たしかに……そうですね」と同意する。
あの人の名前、〝倉沢さん〟だったのか。
そういえばそうだった気がする。
「私も一言二言交わした程度なので、よく知りませんが……たぶん、軽い恋愛しかできないんでしょうね。相手の顔とか関係なく」
告白の返事の仕方が慣れていた。
倉沢さんは優しい雰囲気のただよう美形だし、告白なんて慣れっこなんだろう。
そして、されるたびにああ答えてるんだろう。
「一言二言……? もしかして、知り合いなんですか?」
驚いた顔で聞かれて、短期の出張で倉沢さんの会社にきていることを説明する。
すると、井村さんはまた少し驚いて「そうなんですか……」と呟いてから、むむっと口を尖らせた。