クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~
『まだ十八年しか生きてないじゃないですか』
それなのになにを言い出すんだ。
たしかにそう思うのに。
『でも、まだ十七年しか生きていない私も、そう思います』
呆れ笑いしながら、そんな言葉を返した私も、ムードに酔って浮かれていたのかもしれない。
カップルで埋め尽くされた公園は、そんな言葉が許されるような、そんな雰囲気で満ちていたから。
……八坂さんとの関係が、ずっと変わらないって信じて疑わなかったから。
「めぐ?」と呼ばれ、答えに困った。
覚えてる。覚えてるけど……これを聞いたところで、八坂さんはどうするんだろう。
今までしてきた昔話とは、少し種類が違う。
これは、部活もなにも絡んでいない、ただの恋人としての思い出だ。
こんな甘ったるい思い出話を、ふたりきりのときにするのは……普通のこと?
なんとなく躊躇いを感じて黙ると、八坂さんは「覚えてるってことか」と自己解決する。
空気が、緊張を含みピリッとする。
ドキドキとうるさく鳴り始めた胸に、たえられなくなり、話題を変えようと隣を見上げた瞬間。
すでに私を見ていた八坂さんと、視線がぶつかった。
真面目な瞳に、どきりと心臓が跳ね……思わず立ち止まる。
「なぁ。おまえ、今、付き合ってるヤツとかいんの?」
これは……ただの質問?
それとも、なにか意味を含んでる?
速度を上げた心臓がうるさすぎて、まともに考えられない。