クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~


八坂さんの手前、なんとなく気まずさを感じるものの、誤魔化す必要はないと口を開いた。

「三人です」

八坂さんと別れてから付き合ったひとは、ふたり。
どちらも、相手から告白してきてくれて、そして別れも相手からだった。

『俺のこと、好きじゃないよね。付き合わせてごめん』

別れ際に言われた言葉さえ同じなのだから、なんだか笑ってしまう。

そのひとたちと付き合っている間、浮気をしたわけじゃないし、そのひととだけ向き合ってきたつもりだった。
好きだって言ってくれてるんだから、きちんとしたくて。

でも……結局、本当に好きにはなれなくて、それを相手も感じ取ってしまったのだから、誠実ではなかったんだと思う。

「へー。三人か。瀬名ちゃんが付き合うひとって、すごく真面目そうだよね。なんか想像つくかも。眼鏡かけた爽やかな好青年って感じ。休みの日には図書館とか行っちゃいそうな」

へらへらと笑いながら言う倉沢さんに、北岡さんも同意する。

「あ、私もそんなイメージ。実際、そんな感じですか?」
「さぁ……。どうだったかな」

付き合った三人のうち、ふたりはそんな感じだったとしても、残りひとりは確実に違う。

そのひとりを目の前にして嘘はつけずに苦笑いを浮かべていると、倉沢さんは、今度はターゲットを八坂さんに移し話しかける。



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