クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~


「八坂さんは、あれですか? 何年か前、一緒にいた子いたじゃないですか。キレイめで、すげー巨乳の子。
仕事終わりに支店前で待ち合わせしてたでしょ」

ぴくりと、無意識に眉が動いたのが自分でわかって、慌てる。
こんな過剰反応を見たら八坂さんは変に思うかもしれない。

見られてないかな……と、視線を上げると、八坂さんは、うっとうしそうに顔をしかめ倉沢さんを見ていた。

「おまえ……よく覚えてんな。そんな昔のこと」
「覚えてますよー。あー、八坂さんってこういう子がタイプなんだーって意外だったんですもん。
俺の予想では、なんとなくちっちゃくて体格差がある子が好きなのかなって思ってたから」

「すげー決めつけだな」

呆れたように笑った八坂さんに、今度は北岡さんが質問を向ける。

「でも、支店前で待ち合わせってことは、本命彼女ですか? 遊びの子には職場ばらさないでしょ」

先輩の北岡さんに聞かれたら、誤魔化せないと思ったのか。
八坂さんはバツが悪そうにしながらも、諦めたのか説明しだす。

「そんなんじゃないですよ。ただ付き合いで行った飲み会で一回飲んだだけの相手だし、俺は職場とかは言ってなかったんですけど。
なんか、友達から聞き出したみたいで待ち伏せされてたってだけです」

「ああ、そういうこと……。ずいぶん、気に入られてたのね。で? その子とはそのあと付き合ったの? 巨乳のキレイな子なんでしょ?」

北岡さんが聞くと、倉沢さんが「すげー巨乳のキレイな子です」とうなづく。
八坂さんは、そんな倉沢さんを睨み舌打ちしてから口を開く。


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