クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~


「付き合わないですよ。俺、女からガンガンこられんのって嫌いなんで」

きっぱりと言った八坂さんをじっと見つめる。

ガンガンこられるのが苦手なんて、初めて聞いた。

高校の頃も、背も高いし、バスケも上手だしでモテてたから、告白だってきっとたくさんされてたんだろうけど。
八坂さんは、私にはそういうことは一切言わなかった。

どんな子に、どんな風に告白されたとか聞かされたところで、私だってやきもちを焼くだけだから、八坂さんもそれをわかって言わなかったんだろう。

でも〝ガンガンこられるのが嫌い〟って思う程度には、ガンガンこられてたのか……と思うと、今さらおもしろくない気持ちが湧き出す。

「そんな話、もういいだろ。それより、倉沢って趣味とかねーの? おまえの話って女関係ばっかだけど」

八坂さんが呆れた様子で話題を変えると、テーブルに頬杖をついていた倉沢さんは「そりゃ、男ですし」とぽつりと言う。

そして、しばらくしてからムクリと頭を持ち上げた。

「八坂さんももっと遊んでもいいと思いますけどね。今話した巨乳の子の話だけじゃなくて、迫ったのに手出してこなかったーって、いつかの飲み会の子が言ってましたよ。女のプライドがどうのって。
ダメですよ、八坂さん。そういうときは応えてあげなきゃ」

倉沢さんの言葉に、そういえば前、そんな話を聞いたっけ……と思い出す。

でも、遊んでもいいなんて……八坂さんには決まった誰かがいるみたいだって倉沢さんも話してたのに、なんで今そんなこと……と眉を寄せていると、八坂さんが嫌そうな声で答える。


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