クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~


「いや、すごいって言っても、そこらへんの男よりはって程度で……って、北岡さんはともかく、瀬名ちゃん、なに普通に聞いてきてんの。普通、こういう話題って嫌がるもんでしょ、女の子は」

「すみません。世間体よりも純粋な興味のほうが勝ちました」

いったい、今までどれだけの女の子を弄んできたのかは、正直、気になる。

だから答えを待っていると、八坂さんがニヤッとした笑みを浮かべながら倉沢さんに言う。

「こいつ、おかしいとこあるから、あんまり気にすんな。案外、男同士がするような話でも平気でするし。
嫌な話題になったら黙って眉間にシワ寄せるし、すぐわかるから」

そう説明すると、倉沢さんは「そうなの?」と首を傾げて私を見て……それから、「ん?」と難しそうな顔をした。

「黙って眉間にシワって……あれ。俺、その顔よく見てる気がする……」
「じゃあ、そういうことだろ」
「すみません。そういうことです」

間髪入れずに言った八坂さんと私に、倉沢さんが「えー」と〝マジかよー〟みたいなニュアンスの声を上げる。

その残念がっている様子を見て、八坂さんは呆れたみたいに言う。

「だいたい、倉沢って、めぐと色々違いすぎんだろ。話題とかテンポとか価値観とか、全部違いそう。なのになんでやたらと構ってんの?」
「ああ、それは私も気になってた。なんで?」

八坂さんに続いたのは北岡さんだ。

私も、仕事中とか昼休みとか、やたらと話しかけられるな……とは思っていたけど、倉沢さんはもともとそういう人なんだろうって片付けていた。

でも、八坂さんたちから見てもそうだってことは、実際そうなんだろう。
だとしたらなんでだろう。

私も気になり答えを待っていると、倉沢さんが後ろ頭をかきながら笑う。

頬がうっすらと赤い。
瞳はトロンとしていた。


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