クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~
「んー、なんか心地よくて。だって瀬名ちゃんって俺のこと、顔だけで判断しないし。なんでも許すとか特別扱いもしない。
俺の恋愛の仕方、絶対間違ってると思ってるのに、理由聞かずに頭ごなしに注意してくるとかもないし、まず認めてくれる。そういうのって、いいじゃないですか」
へらっと照れたように笑いながら倉沢さんが続ける。
こんな無防備なところを見たら、きっと胸がきゅんとする女性もたくさんいるんだろう。
残念ながらこの場にはいないけれど。
デレデレとした様子に、白けた三人の視線が刺さっていた。
「なんか、聖母みたい。俺、瀬名ちゃんのこどもに生まれたい。瀬名ちゃんの愛情を一身に浴びてぬくぬく育てられたい。そしたら俺、幸せになってた」
「酔ってんな、こいつ」
「酔ってるわね」
八坂さんと北岡さんが、冷めた目で言う。
へらへらと笑いながら、まだ、母性がどうのって語る倉沢さんを、帰るために八坂さんが立ちあがらせる。
「私は、こんなチャラついた息子嫌です……」
呟くように言うと、隣で北岡さんが「ですね」と楽しそうに笑った。