クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~
「瀬名ちゃんって、ストロー噛むクセあるでしょ。それって、誰かに甘えたい、自分を見て欲しいっていう深層心理の表れなんだって。
実は俺も同じクセがあるから調べたんだけど……瀬名ちゃんが、自分を見て欲しいと思ってるのは、八坂さんでしょ」
確信しているような声に、なにも言えなかった。
なんでバレたのかが、わからない。
「俺、洞察力は鋭いんだよね。だから知ってたよ。それに瀬名ちゃん、八坂さんに関係することひとつひとつに忙しく反応してたから。可愛いなぁって思いながら見てた」
「八坂さんに関係することって……」
まさか。
そんな思いで言うと、倉沢さんは自信を溢れさせた瞳を細める。
「この間の飲み会、俺、そこまで酔ってなかったんだよね。酔ったフリして、八坂さんと瀬名ちゃんの様子見てただけで」
「え……」
「八坂さんと他の女の子の話蒸し返したの、わざとだよ。正面からふたりの反応見てたの」
『八坂さんももっと遊んでもいいと思いますけどね。迫ったのに手出してこなかったーって、いつかの飲み会の子が言ってましたよ。
女のプライドがどうのって。ダメですよ、八坂さん。そういうときは応えてあげなきゃ』
穏やかな微笑みを浮かべて話す倉沢さんに、あのときの言葉が蘇る。
たしかに思った。
なんでそんなこと蒸し返すんだって。
でも、それがまさか、私の反応を見るためだったなんて……と思い、私はあのときどんな顔をしてただろうと不安になる。
「瀬名ちゃん、目伏せてショック受けてたみたいだったけど、それよりもそのあとに八坂さんが言った言葉で傷ついたみたいに見えた」