クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~


〝みなさまの周りで、復縁から結婚したカップルはどれくらいいるでしょうか。
元さやなんて言葉もありますが、それは案外まれなこと。

統計では別れた男女がヨリを戻す可能性は二割弱。とくに男性側の確率が少ないという結果が――〟

週刊の少年漫画雑誌を立ち読みしようと入ったコンビニ。

〝別れた彼と再会! 復縁の可能性を探ります!〟なんて文字が表紙に踊っていたのが見えたもんだから、ついうっかり手にとってしまった雑誌を棚に戻す。

可能性だとか確率だとか関係ないのになにを気にしてるんだろう。

たとえ二割可能性があったとしても、八坂さんと私の間には復縁なんてことはありえない。

壊れたモノは元通りには戻らないって知ってるし、第一、八坂さんには彼女がいるんだから。


――二日前の倉沢さんの誕生日。

怒っているようにも見える真顔で立っていた八坂さんは、しばらく黙ったあと『なにやってんだ、おまえら』と眉を寄せた。

そして、倉沢さんが誕生日だということを説明すると、『二十五にもなって〝お誕生日会〟かよ』と、呆れたように笑った。

それから、三人で駅に向かい、それぞれ帰宅して……ふたりとは、それ以降、誕生日のときの話はしていない。

倉沢さんが言っていた『意地悪』とか『お詫び』の意味もわからなければ、八坂さんの様子が少しおかしいように感じた理由もわからないまま、時間に追われ気付けば二日が経とうとしていた。

気にはなる。

でも、どうせ来週月曜日までだし、顔を合わせるのも今週合わせてあと三日だけだ。
……だったらどうでもいいか。



< 97 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop