僕ら2人。
両想いな2人。
『おつかれさまです〜』
「おつかれ〜」
今日もはじまるわたしのアルバイト。
本屋さんのレジ。
先に入っていた先輩は伸太(しんた)さん。
アルバイトの先輩であり、大学の先輩であり、わたしのだいすきな彼でもある。
「ねえ、そろそろ敬語禁止していい?タメではなしてみてよ」
伸太さんはいつも敬語をつかうわたしが嫌らしく、こう提案してくる。
『え〜まあ頑張りますけど難しいんですよ、意外と!』
「じゃあ今日一日お前が敬語つかわずに過ごせたらなんかしてあげるよ。」
その言葉に思わず身を乗り出した。
『ほんとですか?!じゃあこの後ご飯行きませんか!!!』
「仕方ないなあ〜じゃあおごってやるよ。」
こんなチャンス、二度とないかも、、、
毎回、伸太さんとシフトの時はいつの日かご飯に連れてってくれないかなあなんて考えていた。
それが叶いそう、、!!
わたしはその日、敬語を一切話さない努力をした。
『その本移動してもらってもいいです、、あっいい?』
何回も敬語をつかいそうになる。
「いまのギリギリセーフだぞ〜〜(笑)」
そういいながらくしゃっと笑う伸太さんが素敵すぎて見とれていた。
『見逃してください、、』
「まあ、俺もお前とご飯いきたいし、、な。」
伸太さんが小声で呟いた。
わたしは聞き逃さなかった。でも恥ずかしくて嬉しくて聞こえないフリ。
『えっ?なに?』
わざときき返す。
「うるせえよ!はやく片付けしてご飯食いにいくぞ!!!」
わたしの頭をポンポンしながら片付けの作業に入る。
ああもう、好き。
もう、気持ちに嘘はつけない。
今日いってしまおう。
『伸太さん、ご飯に行く前に話したいことあるんですけど、、』
わたしが言い終わらないうちに、伸太さんに遮られた。
「ちょっと、、それ、俺から話したいんだけど、ダメ?」
なんて幸せなんだろう。
期待しちゃう。
『わかり、ました。』
思わずうつむきながら答えた。
「そうやって、すぐ照れるところかわいいの、知ってる?」
わたしは恥ずかしさで思わず
『知ってます!!』
何言ってるんだわたし。
「おれがお前に
一目惚れしたのも、知ってる?」
涙が止まらなかった。
『っ、ーーそれは知らなかったですっ、』
そっと抱きしめてくれた伸太さんの胸はあたたかくて。
これからもずっと、離したくない
そう思えた。
『わたしがっ、わたしも一目惚れしたの、知ってますかっ、』
「うん。知ってる。」
そう彼はいたずらっぽく微笑んだ。