~彼女の正体~
…杏一人で待ってるのか?
いや、彰はさっき純菜の名前を叫びながら走って行ったしな…。
そのときやっと彰が校門にたどり着いた。
…いるじゃん。
校門の影から純菜が顔をだした。
「タケル~っ!早く来いよ。」
彰が呼んでいた。
俺は杏を見つけて立ち止まったままでいたので、彰の声にハッとして歩きを早めた。
…皆の視線が痛い……。
「お疲れ様。」
杏が、笑顔で言ってくれた。
たった一言それだけなのに……。
俺は、自分の心が締め付けられたように切なくなった。