~彼女の正体~
杏に呼び掛けた男は、俺をチラッと見て、小さく鼻で笑った。
なんだ?こいつ……。
「あっ……。林先生。」
……先生?
「タケル君、家庭教師の先生の林さんなんだ。」
…あぁ。家庭教師ね。
学校の先生にしては、若いしチャラいよな。
「今、杏のとこ行くとこだったんだよ。………彼氏?」
林という男が杏に聞いた。
「彼氏じゃないよ!お友達だよ、ねっ?」
そう杏にふられて、俺は少し悲しかったけど…。
…でも、本当のことだから仕方ないよな。