― BLUE ―

「マコーー!先に下りとくよー美耶もういるって」

「あ、ごめんすぐ行く!」

「——おい」


ずっと千草にどうやって話そうかということばかり考えていたので、放課後になったら河口のことがすっかり頭から抜けていた。帰り支度を済ませて教室を出て行こうとしたとき、河口に呼びとめられて思い出す。

あたしなんか相当ひどい奴かもしれない。


「あ、河口!ごめん忘れてた!」

「ひどいなー」


そう言って笑う河口はサッカー部。本人曰く万年補欠らしいけれど、日に焼けたいかにもスポーツ少年って感じ。うちの学校はサッカー部が強く、たくさん部員がいるから補欠でも仕方がないと思う。

それでも毎日頑張っている河口がえらいな〜と思っている。


「あはっ!ごめんごめん。それで話って何?」

「じゃーーーーん」


河口はどこか誇らしげな表情であたしの目の前へ紙をピラピラさせてきた。


「なに?」

「よく見ろよ」


なにかのチケットのようだ。

不思議に思いながらもじっくり見れば、


「やーーんっ!!!!なにそれどうしたの!!」


なんとあたしや千草や佳代も大好きなアーティストのライブチケット!プレミアチケットと言われているほどのものだ!!


「姉貴が急に行けなくなったから貰ったんだ〜〜。おまえ行く? 今週日曜だけど」

「え、嘘!ほんとに? いいの?!」


それはあたし達も取ろうと思っていたチケット。

ゲットするためにみんなで頑張ったんだけれど、すぐに完売してしまったものだ。

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