― BLUE ―

なんだかんだとライブの話をしながら盛り上がる帰り道。だけどあたしのテンションはずんずん下がる一方で。

少し咲を思い出してしまう。
もしかして遼汰と咲も、あたしの知らないところで会ったりしていたのかな。

そんなのやっぱり許せない。
だけど同じようなことを自分がやってしまっているのではないかという思い。

そういえば遼汰は咲のどんなところに惹かれたのだろう。そして、あたしとの関係が終わっても、遼汰とのこれからを選んだ咲はどう思っていたのかな。


だけどそんなのいくら考えてもわからない。
あたしが咲を拒んだのだから。

わかることといえば、あたしがどうなろうとも咲と遼汰が疎遠になることはなく、つきあいはじめた。それだけだ。


もしふたりが付き合わなければ——、あたしは泣かずに済んだのだろうか。それも違う気がする。

あたしは、どうしたいのだろう。このままではいけないと思っているのに、自分の気持ちすらよくわからない。


千草たちは空席をつくることになるかもしれないから、自分らのことは気にせず行けという。こんなチャンスはないのだから行かなきゃ損だと。

そしてその晩、また河口から連絡が入った。


《俺がマコとふたりで行きたいんだけど、それならOK?》


これってデートに誘われてることだよね。
ふたりきりだし。

どうすればいいのだろう。
なのにライブは行きたいと思ってしまう…。


「もう……、どうにでもなれええ」


そして多分すごく悩んだ結果。
大好きなアーティストのプレミアムチケットという甘い汁に、あたしはまんまとつられてしまった。

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