― BLUE ―

そして次の日も、どんより空模様。
昨日から降り続いている雨は、まだ今日も降っていた。朝起きたときはもう止みそうだと思っていた雨だけどシトシト降り続き、いつ本降りしてもおかしくない状態の空になってしまった。

てるてる坊主でも作って、快晴を願えばよかったかもしれない。

だけどもしかして梅雨入り?もし梅雨入りしてるなら、しばらく屋上に行けない。

いまはまだ小雨だ。


「よっし」


そして足をそのまま屋上へと向けた。

"たまたま"杉本がいるか、いないか…。

階段を一段ずつ踏みしめる。占いなのか願掛けなのか「いる、いない、いる、いない…」

呪文のように頭の中で繰り返した。

だけど最後の一段。


———いない。


なんかショック。
屋上の扉の前まで無理矢理、大またで「い〜る!」と一歩踏み出し扉に手をかけた。

扉のノブを握り息を吐き出したあと、息を潜めて耳をすませる。


よし。


ゆっくりと
ノブを回して—————、回らない。

鈍い音が手のひらからも伝わってくる。

やっぱいないか。

ポケットから自分の鍵を取り出し、鍵口へ差し込んで回した。扉を開けてれば見た感じ、雨は止んでいるように見える。


「降ってない……?」


一歩出てみても、やっぱり降っていない。更にもう一歩踏み出し、顔を上げ空を仰ぎ見た。

すると、ほっぺたに少し大粒の雨が落ちて来る。

なんだ。
やっぱり降ってるじゃん。

少し空を睨んだ。

< 120 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop