― BLUE ―

「なー、あれ。最後のかなりよかったよな!」

「あ…うん。あれ多分新曲だね?」

「そう言ってたじゃん」

「そうだっけ? すごいいい曲だったよね!」


盛り上がりはしたけれど、いろんな想いが溢れだしてしまった。そしてふとした瞬間、杉本を思い出してしまう。途中からほとんど上の空だった。

とはいえ、きっと今日のおかげで一歩を踏み出すことが出来るんだと思う。

やっぱり音楽って凄い。それを生で体感することができ、五感が刺激されたのか体のあちこちに血が巡っているような感覚すらした。


「誘ってくれてありがとね」


心からそう思える。
なんか今日って忘れられない日になりそう。


「あのさマコ、俺」


河口が急に立ち止まっていた。
だけどあたしはすぐそれに気付くことが出来ず。あれ?と思い、振り返る。

するとさっきまで笑顔で話していたのに、それが引っ込んでいて。

あたしはどこか覚悟を決め河口の言葉を待った。

勘違いなのかもしれない。
だけどこんなプレミアムライブに誘ってくれたんだもん。意味がないわけではないと思う。違うかな。

中嶋くんのことは有耶無耶のまま終わらせてしまったから、もし当たっていたら、きちんと向き合わなければ失礼だと思えた。

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