― BLUE ―
「俺、さあ…。もう、わかってると思うから言うけれど………」
そこまで言うと河口は急に笑顔になり、真っ白で形のいい前歯が覗く。
「マコのこと好きなんだよねえ」
「あー…、うん。ごめん、ありがとう。あたし好きな人がいる」
それはあまりにもすんなりと口から出てくる。自分でも少し驚いた。
「だと思った」
「え?」
「見てたらわかるよ?」
え。
「誰かまではわかんないけど」
「ああ……」
「うまくいくといいな」
「……」
なんかごめんなさい。
それからありがとう。
口に出したいけれど、こんなの自己満足なのかも。
ただ気持ちの整理をして楽になりたいだけなのかも。
たくさんの想いが一気に込みあげてきて視界が滲んでしまう。
だけどこんなところで泣いたらダメだ。
何度も唾を飲み込み必死で堪えた。
「フラれたの俺なのに、なんでマコが泣くんだよ」
「——ごめ」
「応援してるから俺」
「……っ」
駄目だ止まらない。
なにやっているんだろ。
このままでは河口に迷惑を掛けてしまうじゃん。
ぐっと息をのみ、空を見上げた。
何度か深呼吸をする。