― BLUE ―

『やっほーマコ!今日どうだった? やっぱ生は違ったりする?』

「うん凄かったよ」


しばらくはライブでやった曲の話で盛り上がってしまい、肝心の話題まで持ち込める雰囲気じゃない。だけど、


「あのさ、」

『あ、電話大丈夫? ってか河口は?』

「さっき別れた」

『…あいつ〜〜』


千草のぼそぼそ声が聞こえた。
今がチャンスかも。

ごくりと唾を飲み込み大きく息を吐き出す。
そして口を開こうとしたとき


『そうそうシンがさー』


突然千草の口から杉本の名前が出てきたので言葉を飲み込んでしまう。


『好きな人? いるみたいなんだよね〜。ってかさー、由香さんのことだね。あれは』

「……そうなんだ」


さっきまでの勢いが音を立てて萎んでいくような気がした。頭がぼんやりとして千草の声が遠くに聞こえる。


『なんかさー、2組の子がシンにコクったらしいんだよね。したらなんと!!"ずっと忘れられない人がいるから"って言われたらしく。すごいよね〜、まだ好きなんだー』


なんだ。
そうなのか。


『もしも〜し。……マコォ〜???』


あたしが河口を振った日、杉本が女の子を振ったと聞く。———だけど、こんな"たまたま"は要らない。

理由が違い過ぎる。

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