― BLUE ―

「千草…。あのね?」

「なに」


遼汰や咲のこと。
下駄箱での杉本との出会い。


「杉本の話なんだけど」

「——シン!?」


お揃いの鍵を持つ屋上でのこと。夕焼けを見たこと。それからカウントダウンの日のことや、こっそり杉本からの電話を待っていたこと。

こんなふうに駆けつけてくれる千草なのに。黙っててごめんね。


「屋上?? それ、あのとき? シンに会ってたの?」

「うん」

「あー…、なるほどね。あれって、そうだったんだ」

「ごめんね」

「なんなのほんと!!」


卒業式の日に杉本と由香先輩が中庭で話してるのを見たことも…。全部話した。

話しはじめたら次から次へと溢れだすように杉本との思い出がたくさんありすぎる。

それどころか、まだまだ話し足りないぐらい。これまでこんなにも杉本でいっぱいだったんだと改めて気付く。


「そっか…」


上手く話せているかわからないけれど、時々相槌を入れながら千草は黙って聞いていた。

そして難しい顔をして黙り込んでしまう。

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