― BLUE ―
そしてそれからあたしたちは、杉本の中学時代の話で盛り上がる。千草の手にかかれば杉本のちょっとしたエピソードも楽しくて話題は尽きることなく。
「シンはねぇ〜。やっぱ人気あったよ」
すでに氷が溶けてしまったジュースのストローを手で遊びながら話し続けた。あたしが初めて聞く話ばかり。
「千草はさ。いつ杉本が好きだと思ったの?」
「あたし? あたしはねー、いつだろ? てか王子様キャラが好きなの。シンってさー、ぽこっと膨らんでるカボチャパンツとか白のタイツとか? なにより王冠が似合いそうじゃん?」
「えぇえ??」
「似合うよ!!!」
千草の例えに大爆笑。
だけど悪くないかも。
「けどシンに白馬は似合わないよね」
「あーなんかわかる」
「でしょ! カラスとかのほうが似合う」
「暗黒系?」
「それだとカボチャパンツとか白タイツじゃないしなー」
「あはは」
ふたりして王子スタイルな杉本に想像を膨らませながら、あれこれ想像してみる。いまごろ杉本はくしゃみをしているに違いないとか、そんなことを思いながら。
だけど花粉症だから関係なくしているかも。涙目な杉本の辛そうなくしゃみを少し思い出してしまう。