― BLUE ―
9.恋ココロ
◇◇◇◇◇◇
梅雨入りが発表された。
だけど、そんな日に晴れている
「よくあることよ」
窓の外を眺めて母は言う。
晴れているのに気分が重くダラダラ制服へ着替えているあたし。
「いってきます」
学校への道のりは、まるで足が鉛でも引きずっているかのようだ。
というかだるい。だるすぎる。
頭の中は雲がかかったようにぼんやりとしているのに、体は間違いなく学校へ着いた。
「マコーーーー」
教室に着くと早速卒アルを広げ手招きをする千草。
「(お)はよ」
「上げてこ!」
「なんか無理でさ」
「ほら見て」
そして千草がとんっと指差した。見慣れない制服姿がたくさん並んだ写真。
「シンは3組でー。ほら、これがシンだね」
そこには、あたしの知らない杉本がすました顔で写っていた。
もうずっと忘れられない人、か…。
ぼんやりと眺めていると千草が手早くページをめくり、体育祭特集のところを開けた。
「ちょ、これ見て!ほらこれぇ、かなり萌え〜でしょ?」
指で示したそれは、小麦粉で顔が真っ白くなっている男の子。いまよりもうんと幼い顔をした杉本のアップ写真だ。