― BLUE ―

『あら〜〜〜? 少し見ないあいだに真琴ちゃんも大きくなったわね〜』


ええっと。
このおばさん誰だっけ。
顔がよく見えないなぁ。

横にいる子は、……えっと……たしか…。


「……っ!」


うるさいなぁ。


「マコ!!」


目を開けたら、そこには母がいた。


「あ……」


あれ?
てかいまの夢だっけ…?
どこか古びて懐かしいような。


「歩ける?」

「——うん大丈夫」


迎えに来てくれた母に連れられ病院へ行った。
流行りの麻疹と疑われた症状も、ただの風邪と脱水症状と診断され点滴をしたあと帰宅。


「風邪だけならともかく、脱水症状ってなに?」

「ごめんて」

「まるでうちの水道が止まってるみたいじゃないの」

「そういう問題?」


そういえばなにか聞きたいことがあったはず。
だけど薬のおかげで熱が下がり出すころには夢で見たこともおぼろげになっていた。

しばらくしたらどんな夢だったかも、夢を見たことすらだんだん薄れてしまう。


「しばらくお休みね。学校には連絡入れておいたから」

「ありがと」


そして外は雨。
やっと梅雨らしくシトシト降っている。

窓についた雫が重なり流れ落ちるのをぼんやりと眺めながめながら携帯を手に取った。そしてロック画面を表示させる。

そこに写る杉本とあたし。


「はあ……」


こんな気持ちのままじゃ、これまでのように会えないだろうな。

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